2024年07月14日

花々/休業から一年

 皆さま、雨の季節の終わりをどのようにお過ごしでしょうか。アジサイの花もしっとりとした姿になっている頃かと思います。

 しばらく投稿をご無沙汰しておりました。私は変わりなく元気に過ごしています。
 こちらキルギスでも季節の花が、かわりがわりに咲いています。これまで、気になった花があればパチリと写真に収めてきました。


 春先に足元のタンポポや、桜に似たアンズの花をみたときは、心がほっとしたものです。

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 私と違って、近所の人々はアンズの花にはあまり興味がなさそうでした(^^)。
 しかし5月に入って町のいたる所にライラックの紫の花が咲いたとき、女性や子供たちがその花を愛でて写真に収めたり、一房二房うれしそうに持ち歩いている姿をたくさん目にしました。


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 ライラックはキルギスの人々にとって欠かせない大切な花のようです。

 そして、初めてみる花々。道ばたや小高い丘にたくさん咲いています。

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ほとんど名前もわかりません。
下の右側2番目がエーデルワイスとのこと。
(←歌でしか知らなかったです)

キルギスは冬が厳しいので、花々は寒さを乗り越えた喜びの表れのように感じます。


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 さて、昨年7月より豆腐店は休業に入り、それからちょうど一年が過ぎました。お豆腐を作ってお一人おひとりにお渡ししていた日々を思い出しています。

 先日、郊外の村の公民館で住民の方々(子育てを終えた年代、女性中心)に食べもののお話をする機会がありました。言語だけでの伝達は不十分なので、私の豆腐作りの動画を見せたりしました。その中で、気持ちがつながったと感じる瞬間があったりしました。
 地方の村の女性たちは昔と変わらず、いろんな食べものを手作りしている素晴らしい作り手たちでもあります。もしかしたら私が日本でやってきた日々の仕事への共感があって、つながったのかもしれません。

 豆腐店をやっているときと今の活動とが、地続きであると感じることができて、じんわりとした嬉しさがありました。

 皆さま有り難うございます。

 また書きます。どうか健やかに、よい日々を。

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たべつむぎ
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posted by たべつむぎ at 00:06| 日記

2024年05月20日

キルギスの乳加工品

 皆さまお変わりなくお過ごしですか。
 近くの草原や丘は若草が生え、すっかり緑色です。それを羊や馬がムシャムシャとひたすらに食べています。

 私は元気です。先月上旬まで実践していたラマダン断食も、さほど難なく終えました。(早朝と夜にしっかり食べていたので体重は変わってません) それを話したキルギスの人たちは敬意を払ってくださり、距離が少し近づけたように感じています。
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 さて、キルギスは牧畜をする遊牧民と、農耕をする定住民の両方が長らく住んできた地域です。現在は遊牧民の定住化が進み、牧畜そのものが半遊牧半定住のスタイルとなっています。

 遊牧民が古来から主食として食べていたのは、小麦や米ではなく乳から作られる加工品でした。現代においては主食こそパンなどの穀物類に変わりましたが、乳加工品は今でもたくさん作られ、たくさん食されています。


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町の市場の手作り乳加工品の売店


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アイラン(生乳や脱脂乳に、前回作った余り(乳酸菌のたね)を加えて作ったヨーグルト。砂糖やジャムをかけて食べる人が多い)


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スズモ(アイランを脱水した固くて濃厚なヨーグルト。これを水で薄めて塩味を足して飲んだりもする)


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クルト(スズモに塩を混ぜて乾燥させた一口サイズの固い食品。梅干しのように、しょっぱくて酸っぱく、長期保存できる)


 加えて、カイマック(生クリーム)、サルマイ(バター)と呼ばれるものも昔から食されています。
 日本で買えるような西洋のチーズは元来はキルギスの遊牧民の伝統食にはありませんが、現在は乳製品の各メーカーが製造販売しています。
 キルギスの乳加工品、どれも美味しいです。^ー^


 長い歴史の中で遊牧民と定住民の互いの交流、そして周辺地域との交流、イスラム文化、ロシア文化が交ざり合い、現在のキルギス料理は多種多様です。伝統食がどう残り、キルギス料理がどう変化していっているのか、引き続き関心を持って食べていきたいと思います。また別の機会に紹介します。


 余談ですが、これらの乳加工品と豆腐の性質や作る工程はよく似ています。
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 日本はこれから次第に蒸し暑くなってくるかと思います。皆さま休息を大切に、良い日々をお過ごしください。
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たべつむぎ
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posted by たべつむぎ at 15:00| 日記

2024年04月02日

ラマダンの月

 皆さま、春の日々をお元気でお過ごしでしょうか。こんにちは、たべつむぎです。

 私が海外協力隊として住んでいるキルギスのナリン市。ようやく街中の雪が解け、随分と暖かくなりました。冬場は静かだった公園や空き地では子供たちがたくさん遊んでいます。

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 さて、キルギスはイスラムの圏域です。ナリン州では、ほとんどの人々がムスリム(мусулман = イスラム教徒)です。その中には、イスラムの規律を厳格に守る人もいれば、ゆるく実践している人もいます。
 ムスリムの女性の服装のイメージである"ヒジャブ"をかぶっている人は1割に満たないです。男性でお酒を飲む人は結構います。
 そのあたりは民族性や辿ってきた歴史が関わっており、興味深く観察しているところです。


 現在、イスラムはラマダン(рамазан)の月です。(今年は3/11〜4/9)
 30日間、朝から夕方まで断食をすることにより心身を清め、神とのつながりをより強く意識した生活をするそうです。そして、貧しい者も富める者も空腹を共有し、食べることの喜びを分かち合います。

 じつは私も、ムスリムの文化や心情を理解できればと思い、断食を実践してみています。
 朝4時台に食事を済ませ、しっかり水分補給。日中は食べものや水は一切とりません。お腹はすきますが、一週間ほどで馴れて気にならなくなりました。ぐぅぅ〜っと大きな音は鳴っていますが(^^;)
 19時半頃に、最初に神の恵みの象徴としてのデーツ(ナツメヤシの実)と水を口にしてから、晩ごはんを食べます。
 
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 日の出日の入時刻は毎日数分ずつ変化しますし、住んでいる地域の位置によっても異なるため、各地域ごとに(ナリンはナリン専用の)ラマダンカレンダーがあります。食品会社が無料配布したり、スマホの断食時刻お知らせアプリもあったりします。
 
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(表の見方例)一行目=第1日目|3/11(月)|日の出(断食開始時刻)5:41〜日の入(断食終了時刻)19:03|


 これまでラマダンの断食と聞くと単に苦行というイメージを持っていましたが、特別な時間を楽しんだり、または身体がリフレッシュするといってポジティブに実践している人が多いことは意外でした。
 なお、それぞれの事情で完璧に実践しない人もいます。小さな子供や体の弱いお年寄り、妊娠中の女性も断食をしません。また、風邪など体調不良のときは無理せず断食を先延ばししてもよいとされています。その結果、半分くらいの人々が断食を実践している印象です。

 残すところあと8日、せっかくの機会ですので、まじめに楽しんで続けています。断食が明けると大きなお祭りがあるそうです。


 新しい年度になりました。生活に大きな変化のあるかたも、いつも通りのかたもいらっしゃると思います、どうか穏やかに良い日々をお過ごしください。

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たべつむぎ
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posted by たべつむぎ at 01:37| 日記